あるパチンコ屋での出来事

 

 


 

 

 

最近パチンコ屋に女性の姿が増えましたね。主婦や、若い女性が、席の半分以上を占めていて、

横でタバコでも吸おうものなら、露骨に顔をそむけて、煙たそうな顔をする人もいます、

そんなに嫌なら、パチンコ屋へ来るな!と言いたくなるのですが、そんなことでも言おうものなら、

 

「なんで、あんたにそんなこと言われなくちゃならないの!」と、やり込められるのがおちで、黙って、タバコの火を消します。

 

 

 

そんなパチンコ屋で、僕が体験した出来事を書いてみます。

 

あるパチンコ屋での出来事です。時間は夜の8時ごろ。

僕の隣で、30才ぐらいの婦人がパチンコを打っていました。

その婦人は、その台にかれこれ3時間は座りつづけて打っています。その間、大当たりはまだ、一回も来ません。

たぶん、ん万円は使っているでしょう。・・・・

 

そして、驚くことになんと、その婦人は、5〜6歳ぐらいの子供を連れて来ているようでした。

子供は、表ででも遊んでいるんでしょう。時々、母親のそばにきては、

「ママ、まだ、おわらへんの?おなかすいた・・・・・」と訴えに来ます。

 

母親は、血走らせた目を子供に向け、「うるさいな!もうちょっと待っとき、これでなんか買うて食べとき。」と財布からお金を出して、子供に握らせています。

(おいおい!もう8時やぞ!はよ、家に帰って、晩飯つくらなアカンノ違うの?)僕は、心でそう思いながら、横でパチンコを打っていました。

と、そのときです。いきなり、その母親の台が大当たりしました。ふと横を見ると台のうえには、玉が一発もありません。

母親は慌てて、小銭を出そうとしますが、見つかりません。

そして、なにをしたか?

 

 

なんと!

 

 

いきなり、一言もなく、僕の玉をわしづかみにして、自分の台にいれ、そして、打ち始めたのです。

 

 

僕は、ビックリして、その母親の顔を見ました。

母親は、チラッと目線を僕のほうに向け、片手で、ゴメンナというようなふうに、手を上げました。(その間、目線をチラッと僕のほうに送っただけで、顔は、台の方を

一心に向いたままです。)

 

 

 

ぼくは、なんだか、悲しくなってきました。

たぶん、この母親は、だんなから、「これで、今月も、家計のやりくりをしてくれ」と、預かったお金でパチンコをやっているのでしょう。

ん万円も負けると、絶対に明日から、いや、今日からの夕飯のメニューがかわります。

スキヤキにしょうと思っていたのが、目玉焼きになったり、焼肉にしょうと思っていたのが、ラーメンライスになったりするのかもしれない。

 

いや、ひょっとしたら、ご飯と、横に永谷園のふりかけの袋が置いてあるだけかもしれません。

仕事に疲れて帰ってきただんなは、ふりかけだけがおかれてある食卓を見て、

「オイオイ、一日疲れて帰った来て、ふりかけご飯かい?」と嘆くかもしれません。

 

 

イヤ、もっと、気の強い夫なら、「巨人の星」の星一徹のように、

 

「こんなものが食えるか!!」

 

とちゃぶ台をひっくり返すかもしれません。

 

なんとしても、取り返さなければ、・・・・・・・・・・・・・・・・母親の目は、うつろになり、しかし、血走り、台を凝視しています。

 

 

 

 

どうです、みなさん?この母親をどう思いますか?

 

馬鹿だと思いますか?おろかだと思いますか?こんな人は特別で、あんまりいない、と思いますか?

 

イエイエ、こんな人は、今、非常に多いですよ。

 

もっと、悲惨な話を、僕はたくさん見てきました。

 

ギャンブル、ほどほどに、・・・・・・・・・・・・・・ですね。

 

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