back forw

Page Top

2002.06 椎茸“C-Take”工房 ~修理部門~

音楽をやっていない人でも一度は目にしたことのある「ACアダプター」。

コイツは大切に扱っていてもよく壊れることがある。一番多いのが「断線」。 使用時にコードをなんらかの形で引っ張ってしまったために中の電気の流れる線だけが見えないところで切れてしまった状態で、コードの付け根をグリグリ動かすと使える時がある、という症状などはそれに該当している場合が多い。
また、保管時にコード部をグルグル巻きにしていたりすると中の線だけがどんどん「ら旋状」にひねられてしまい、やがて一番負担の掛かる部分が断線してしまう。コードを巻いて保管する時は一巻する度にコードをひねって巻いて延ばした時に「よれ」がないようになる巻き方で回避できる。自分はギターのシールドなどを巻く時は必ずこの方法を使う。

さて、今回修理するアダプターは依頼されたもの。
故障箇所を探りあてるのにコイツを接続する実機が無いため、ここで症状を確認することはできない。取り合えず「付け根」を分解し線の状態をチェックする。
分解には写真のような工具を使用する。右からハンダ、ハンダごて、ピンセット、カッター、ラジオペンチ、ニッパー、配線ペンチ、マイナスドライバー。全てなくても修理はできるが今回はこれらを使用する。

まず、コードを付け根の少し先で切断し、ビニールのチューブだけを「配線ペンチ」を使って1cmほど剥がす。
すると+線(白)の方の中の線が無いことが確認できる。これは付け根寄りで断線していたため、チューブを剥がす時に中身も一緒に抜けてしまったため。つまりこの場合の故障は付け根部分での+線の断線だったと思われる。

次に最初に切断した線のもう一方の端の部分のビニールを剥がす。そして基板から古いコードの接続部のハンダを溶かし取り外し、そこに新しいコードを接続。 この時+と-が逆にならないように注意する。

もともと付いてるハンダだけではしっかり固定できない場合は上から新しいハンダを足して固定する。

これで蓋をすれば修理は完成なのだが、このままだと使用時に基板の接続部分への負担がかかるので今度は断線ではなく、基板との接触不良が発生する可能性がある。
先程切断した際、継ぎ目の部分の部品をつければいいのでは?と思うかもしれないが、この部品、プラスチックの「溶かし込み」による加工がされている場合が多く一度コードを抜いてしまうと専用の機具がないと利用できない。

ここで「椎茸“C-Take”工房」オリジナルの方法を使う。

不要になった継ぎ目の部品をカッターで二つに割る。

割ったままなのが2つあるうちの左側の状態。これだとコードを挟むことができないのでカッターを使って断面に溝を掘ったのが右側。細目の彫刻刀などを利用してもよい。
もう一方にも同じ加工を施しコードを挟む。
切断面には接着剤を塗り接着。
余談だが木製のルアーを作る時に必ずやる針金の構造線の埋め込みの加工に似ている。
後は分解した時と逆の順序で組み立てる。

こうして修理が完了したアダプター。やがて持ち主の手に戻っていく。

困った人に自分の技術が少しでも役立てば...。

治った時の喜ぶ顔が見たい...。

そんなことが原動力になっている(ウソ/笑)椎茸“C-Take”工房の「修理部門」。

現在は事情により休止中です。

>> 一覧へ戻る