三声のインヴェンション(シンフォニア)について

シンフォニアという題名はバッハ自身がつけたものですが、
多声部の器楽曲といった意味の他には形式的な意味は無いようです。
二声のインヴェンションと違い、さらに一声部増えることになります。
たった一声部あるかないかの違いではありますが、いざ演奏してみると、
格段の困難さがあります。
ふたつの声部を片手で演奏したり、真ん中の声部を右手と左手の
共同作業によって演奏しなくてはならないことが起こります。
このことから、各指の音楽的な独立性が非常に要求されてくるわけです。

No.11 ト短調について

この曲は今までよくあったフーガ的書方が、一切使われていません。
主動機になる5つの音を中心に組み立てられた8小節のテーマが、
さまざまな対位法的処理によって、模倣、反復されています。
曲から受ける感じも深刻ぶった所は一切なく、むしろ明るささえも感じます。
ちょっと幻想的で叙情的なこの曲は、疲れている時にはお勧めですね。


inventio
(第1曲三連音符を主にした自筆譜)

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