慶応義塾マンドリンクラブの各団体では、コンサートの冒頭や第2アンコールとして必ず演奏する曲が3つある。
「若き血」「España cañi」「KMCの歌」である。
ここではプログラムの曲目一覧に載らないそれらについてまとめたい。
演奏スタイル、舞台効果については基本的に現行に基づいて記述している。
書きたいが情報がない部分は<>で括っている。
曲名 | 若き血 | Wakaki-chi |
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成立 | 昭和2年 | 1927年 |
作詞 | 堀内 敬三 | Keizo Horiuchi (1897-1983) |
作曲 | ||
編曲 | 服部 正 | Tadashi Hattori (1908-2008) |
KMC団体の演奏会におけるオープニングナンバー。 演奏会冒頭、プログラム1曲目の前に演奏される。<いつからか?>
この時点では指揮者は舞台上に居らず、コンサートマスター(コンサートミストレス)が指揮(前腕の前後運動の場合もあれば、普通の指揮の場合もある)する。 その際冒頭、コンマス(コンミス)による発声「いっとーにーとー」で演奏を開始する。 この発声はかつて(高校第1回前後)は「イチ、ニ」だったそうである。<いつから変わったのか?>
緞帳がある場合、スタートと同時に開き(上がり)始める(照明は最初から点いている場合と暗闇からスタートの場合とがある)。
緞帳がない場合、照明なしの暗い状態からスタートし、徐々に照明が明るくなっていく。
「暗闇の演奏」は、偶然のトラブルが発祥であるとのこと。70年史の「リレー座談会 第3回」(366ページ)を引用する。
そう、それで、暗闇の演奏が始まったのね、「若き血」の。 上野さんが指揮をしてて、飯塚の炭鉱町あるでしょ、そうしたら停電になっちゃったの。 その時「若き血」を演奏してたんだけど、最後までつづいちゃったわけ。 それで、終わるころ電気がついたんですよ。それが始まりですよ、今もやってるね。
70年史の「KMC演奏旅行記録」によれば、飯塚での演奏は唯一「1956年3月17日」とのこと。この日からこのスタイルが50年以上続いているわけである。
曲名 | イスパニア・カーニ イスパーニャ・カーニ エスパニア・カーニ エスパーニャ・カーニ | España cañi |
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成立 | 大正2年 | 1925年 |
作詞 | - | - |
作曲 | マルキーナ | Pascual Marquina Narro (1873-1948) |
編曲 | 服部 正 | Tadashi Hattori (1908-2008) |
現在、第2アンコールの1曲目。
1960年(昭和35年)6月「第84回 創立50周年記念 定期演奏会」にて初めてアンコール曲として演奏された。
これが好評を博し、以後アンコール曲として定着した。
冒頭はギターパートとカスタネットのみで開始される(志木高バージョンを除く)。ギターのアルペジオと叩きのコントラスト、カスタネットが見せ所(聴かせ所)。
演奏直前又は演奏開始と共に照明が赤(青の場合もある)になり、スペイン風になる。
曲中程の区切れ目(曲想が変化する部分)でスペイン風の掛け声「オレ!(¡ole!)」と共に暗転。しばらくG.P.。 クラッカーを使用する場合もあるが、これは近年ホールによっては消防法により禁止されていたりもする。 そして指揮者の「ワン・ツー」という掛け声で後半部の演奏を開始する。 その際暗闇で指揮者の棒は見えない為、2液混合式のライトスティックを使用することが多い(かつては「先端に赤ランプが点く指揮棒」を使用)。 暗闇から照明を徐々に点けるにあたり、舞台後方に飾られたクラブのペナントをスポットライトで照らす場合あり(近年ペナントが飾られないケースあり)。
現在、大学及び塾高女子高は、冒頭をギターパートソロで遅いテンポで始める。
志木高では全奏で速いテンポで始める。
オリジナル編曲は、全奏で速いテンポで始める方である。
1963年(昭和38年)のアメリカ演奏旅行時、現地の方から服部先生に「この曲は通常ゆっくり始めて、徐々にテンポを速めていくものだ」との話があり、
その後<1964年以降のいつからか>遅いテンポで始める方のアレンジが成立したらしい。
曲名 | KMCの歌 KMCのうた | KMC Song |
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成立 | 昭和22年 | 1947年 |
作詞 | 服部 正 | Tadashi Hattori (1908-2008) |
作曲 | ||
編曲 |
KMC団体の演奏会におけるクロージングナンバー。現在は第2アンコールの2曲目。
España cañi から attacca で入る場合もあるし、そうでない場合もある。
少なくとも近年は、司会がいる場合、曲の途中で観衆へのお礼の挨拶がある場合がある。
また少なくとも近年は、曲の途中で指揮者が舞台から退場し、以降コンサートマスター(コンサートミストレス)が指揮する(前腕の前後運動の場合もあれば、普通の指揮の場合もある)。
曲の初演はKMC 第63回。
ミラーボールを使用する場合がある。
緞帳がある場合、最終音の全奏をフェルマータしている間に下ろす場合がある。