KMC History特集:オラクリ

1. 概要

ドメニコ・ニコラ・チマローザの歌劇といえば「秘密の結婚」が有名ではないかと思いますが、 マンドリン・ギター合奏界では "Gli Orazi ed i Curiazi" の序曲が、ポーリ編曲で有名です(通称「オラクリ」)。 「オラッチ兄弟とクリアッチ兄弟」「オラッチ兄妹とクリアッチ兄妹」「オラッチ兄弟とクリアッチ兄妹」「オラッチオ兄妹とクリアッチ兄弟」「オラーチョ○○とクリアーチョ○○」等、 人名の読みや兄弟等の部分がまちまちで、以前先輩方に質問したこともありました。 今回、特集として再度調べることにしました。

2. 原題

"Gli Orazi ed i Curiazi" Sinfonia
(マンドリン・ギター界では"Gli Orazii ed i Curiazii"だが、一般的には"Gli Orazi ed i Curiazi"となっている。)

3. 日本語訳案

歌劇「オラツィオ兄弟とクリアツィオ兄弟(ホラティウス家とクリアティウス家)」序曲

4. 歌劇分析

4.1 登場人物

簡単にいうと、ホラティウス家もクリアティウス家も(少なくとも)3男1女がおり、お互いに婚姻関係がある、ということ。

登場人物
立場名前役割性別声域
【ローマ】
ホラティウス家
Publio Orazioホラティウス家の長男性Tenore
Marco OrazioPublioの息子
Sabinaの夫
男性Tenore
Marcoの兄弟1男性無言
Marcoの兄弟2男性無言
OraziaPublioの娘
Marcoの妹
Curiazioの婚約者となる
女性Soprano
SabinaCuriazioの妹
Marcoの妻
女性Soprano
【アルバ=ロンガ】
クリアティウス家
CuriazioSabinaの兄
Oraziaの婚約者となる
男性※Mezzo-soprano/Soprano/Baritone
Curiazioの兄弟1男性無言
Curiazioの兄弟2男性無言
【ローマ】Licinioホラティウス家の友人女性Soprano
Augure(卜占官)男性Bass
Sacerdote(聖職者)男性Bass
Tullo Ostilio
トゥルス・ホスティリウス
ローマ王 3代目男性
※Curiazioは名前からしても男性のはずだが、女性(Soprano/Mezzo-soprano)が演じている場合が多い。なぜ・・・?

4.2 あらすじ

  1. ローマとアルバ=ロンガは絶え間なく戦争していたが、ある日戦争の停止が合意される。
  2. CuriazioとOraziaの結婚が決まる。
  3. 両国のトップは、双方から3人ずつ若者を選出し戦わせ、その結果を国の勝敗とすることを決める。
  4. ローマ代表はホラティウス3兄弟、アルバ=ロンガ代表はクリアティウス3兄弟が選出される。
  5. マルス広場で戦いが始まろうとしたが、親戚縁者の戦いである為、保留される。
  6. アヴェンティヌスの丘の洞窟に隠退したアポロの賢人に指導を仰ぐ。その結果はやはり「戦い」。
  7. 3対3の戦いが行われた結果、Marco Orazioが生き残り、ローマの勝利となる。
  8. 意気揚々と帰還するMarco Orazio。Curiazioを殺されたOraziaは兄の殺人を非難する。
  9. Marco OrazioはOraziaを刺し殺す。
  10. Publio OrazioはMarco Orazioを国の為にやったことと擁護する。

※刺し殺される妹の名前は、ローマ史系では「カミラ」となっているものがある。

5. 言語分析

5.1 名前部分

5.2 複数形部分