劇団美醜(ミチュウ)の創団20周年記念作品。李王朝期に禁酒した時代があったとは知らなかった。すっきりした舞台美術とあっさりした演出で、まるで薬膳?のような舞台でした。
鄭義信の作品を松本裕子が演出し、俳優はすべて韓国陣で固めた舞台。鄭義信の作品は新宿梁山泊以来だが、なかなかおもしろかった。話がやや冗長なところが相変わらずで、懐かしかったス。この作家の作品に描かれる事件はおそらくは在日の経験した事件なのだろうが、日本人の記憶と重なる部分があり、奇妙に納得のいく話しになっている。しかし共鳴する部分があるからといって、在日の歴史と日本人の歴史をいっしょにして「我々の歴史」として良いものか…。韓国の客はどう見たのか?おそらく舞台評が雑誌に載るだろうから楽しみにしよう。
友人に誘われて何の気なしに創作バレーを拝見。主宰と主役は韓国国立バレー団の首席舞踊手を1980年代に努めたというから、お世辞にも若いとは言えない女性ダンサー。そのせいか、作品全体を貫くトーンは「成就しない男女の愛」という感じで、音楽はピアソラをたっぷりと聞かせて(効かせて)くれるから、もう気分は「ラストタンゴ・イン・パリ」。見事な安定感で踊る三人の男性ダンサーと場面ごとにからむコケティッシュな装いの女性ダンサーが印象的だった。今年の観劇日誌の劈頭を飾るにふさわしい良い舞台でありました。
このところ論文作成に追われてほとんど部屋に閉じこもっております。たまにガッコへ行くだけで、今年はまだ一本も芝居を見ていない…。
ところで最近の街の変化ですが、スターバックス式のコーヒーショップが増えてきました。大学の正門脇にあったゲームセンターが無くなり、EDIYAというコーヒーショップに変わったし、地下鉄シンチョン駅近くにもHARISSというコーヒーショップができました。これらの店はおおむねスタバ形式で、そこそこの味でわりと安いと言えましょう。だんだん「ウォンドゥコッピー(まめコーヒー)」をたしなむ人口が増えてきたのですなあ。ただし安いとはいえ、最近は日本円と韓国ウォンの換金率が下がっているので、韓国のスタバは日本のスタバより高いのです…。また、韓国の大衆料理が一品4000ウォンから6000ウォンであることを考えると、スタバの「オヌレコッピー(今日のコーヒー)」が2900ウォンなのは高いと感じます。
いよいよお金が無くなってきて、スタバでオヌレコッピーを飲むのもためらわれます…。 ー_ー;
「王の男」という映画が流行っているそうですが、その原作となった「繭(イ)」という芝居を見ました。この作品は5年ほど前の初演以来何度か再演されましたが、今回は映画を意識しての演出のようで、それわそれわつまらない舞台でした。
映画になった芝居といえば「殺人の追憶」?でしたっけ、連続殺人事件を扱った作品ですが、原作を「会いにきて(ナルボロワヨ)」といいます。これはなかなかおもしろい作品でした。もっとも、察マワリの新聞記者が警察署で刑事の引き出しを勝手に開けたりと、「え〜、そんなのあり〜」というシーンがあって、ちょっとリアリティに欠けると思ったりしました。
ところで私はこの作品を1万5千ウォンで見ましたが、映画化されて人気が出るとどんどん入場料が上がり、最終的には4万ウォンまで上がってしまいました。ふつう演劇は舞台装置など使いまわしできるので、ロングランになればなるほどランニングコストは下がるはずなのに…。今回の「繭」もR席が5万ウォンでS席が3万ウォンというびっくり値段で、映画人気をあてこんで入場料を塩梅する…このような形での料金設定には賛成できかねますなあ。
チャン・ヂン監督の映画「拍手の中に去れ」はなかなかに面白い作品でした。これももともとはチャン・ヂンによる演劇作品で、ぜひ舞台を拝見したいものです。できれば適正価格で…。(^^)
さて、明日またソウルへ戻ります。
このところ修士論文にかかりきりで、芝居を見る暇も無い…。ところで最近の日本はいかがですか?ヤフーのニュースを見るかぎりではあまり芳しくないようですが。とくに小泉君の「格差は当然」発言にはカチンときましたな。ー_ー; 国家システムが高度?資本主義社会のニーズに合わせてリストラを推奨し、「柔軟性のある労働力市場」を形成するために「潜在失業者」を意図的に作り出しておきながら、「食えなくなった」責任を個人に押し付けて乗り切ろうとする姿がありありと見えます。
韓国の家屋はほとんど二重窓ですが、この内窓と外窓のあいだを冷蔵庫代わりに使っています。気温はずっと零下ですから、うちの非力な小型冷蔵庫よりよく冷えます。
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今年は韓国暮らしを開始してから初めてソウルで年越しをしました。本年もどうぞよろしく。
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