平成13年(行ウ)第14号 公文書不開示処分取消請求事件
原 告   永瀬 英一
被 告   阿見町長 川田 弘二
原告準備書面(4)

平成14年3月8日
水戸地方裁判所民事第2部合議B係 御中
原 告 永瀬 英一


原告が,本件不開示処分の違法性について主張してきたところを総括すれば,以下の通りである。

1.本件の争点は,消防法(昭和23.7.24・法律第186号)4条1項に基づく立入検査結果通知書,改修(計画)報告書及び防火対象物実態調査表等の行政情報(以下,「本件情報」と略記)の開示が,阿見町情報公開条例(以下,「条例」と略記)7条1号に定める法令秘情報にあたるかどうかにある。
因みに,原告は,本件情報が条例7条1号に該当しないとしても,情報公開を定める7条で,原則の例外として非公開と規定した同条他の各号に該当する場合もあり得る,との立場で吟味してきたところであるが,被告は7条1号についてのみ争うとのことであるので,ここでは敢えてそれには触れない。

2.被告が,本件不開示処分の論拠とする,消防法4条6項の規定は,消防職員がその職務に関して知り得た関係者の秘密を不当かつ竊かに他に知らせることを禁じた規定であり,他方,本件情報公開請求によって求められている行為は,公開するという行為であり,竊かに他に知らせる行為ではあり得ないのでのである。
被告はこの点において,明らかに解釈の誤りを犯している。
消防法4条6項に関する被告の主張が根拠を欠いている以上,本件情報の公開が,地方公務員法上の守秘義務に抵触するものでないことは,当然の帰結であって,被告の,消防法4条6項を拠りどころとする条例7条1号の法令秘該当性もまた否定されなければならない。

結語 条例前文にも掲げられているとおり,町が保有する公文書は本来町民との共有財産であり,町民に開かれた町政を推進するため,積極的に公開されるべきものである。
原告の本件情報公開請求に対する被告の公文書部分公開決定に対し,原告が「消防法4条6項を根拠とする決定は違法・不当な決定である」旨の不服申し立てをした際,被告が謙虚に原告の言い分を玩味し,条例の基本理念を尊重して消防法4条6項の規定を読み直していれば,情報公開審査会の判断をまつまでもなく,被告の決定が誤りであることに気がついた筈であり,ついにはその後8箇月に及ぶ司法審査をも煩わせる結果になったことは,町民の知る権利を大きく損なったものとして極めて遺憾である。
被告は深く反省して速やかに本件不開示処分を取り消すべきである。    
以上