首長交際費支出基準

市民オンブズマンいばらき　情報公開プロジェクト

１、支出基準を設けるに当たっての基本的な考え方
　「交際とは対外であること」「交際費という�税金� の支出が市民の側から充分に納得できる内容であること」を考え方の根底においた。その程度の交際費ならば、と受け取っていたことも、その支出は税金なのだとの視点に立ってみると、ずいぶんと割り切れない相手であり内容であることが従来の交際費には多い。原点に立ち返って交際費を眺めてみようとするものである。
　また、基準をもうけることによって、慣行的になされてきた支出に対して首長間共通の認識の元での�枠�を作り、庁内外及び市民との新たな交流関係を構築して欲しいと願う。

２、支出基準

種別

支出を認める対象　　　　

支出を認めない対象

1.会費

1）該自治体又は首長（含助役、収入役）が構成員である団体の会費であって年度初に支出が予想されなかったもの2）政務遂行上及び社会通念上必要と認められ、真摯な意見交換が目的の懇談会・会食の自己負担としての会費
（例）農業委員会懇談会会費、市職員パラリンピック壮行会会費、古河地区暴力団対策協議会役員会会費
＜付記＞1）の会費であって年度初に支出が予想されるものは（例）「負担金補助及び交付金」で予算化するのが望ましい
（予算化の例）全国市長会負担金、県市長会負担金、県都市収入役会負担金、県日中友好協会会費、県日韓親善協会会費、雇用対策協議会会費　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

1)首長が所属する私的な団体の会費
(例）
県西政経懇話会会費、橋本昌を励ます会会費、むつみ会会費　　　　

2)懇談会・懇親会名目で行われる宴会が目的の会費
(例）
国際花のフォーラム交流会会費、
つくば部長会総会会費、県春繭協会会費、
下館市民ゴルフ大会懇親会、
市議OB友の会定例懇親会、
消防団幹部との懇親会　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

2.香料・花代・供代等　　　

該自治体と密接な関係にあり又は貢献�のある個人であって
1）現職の首長、議員、教育長、助役、収入役の本人及び一親等並びに同居の養父母

2）前及び元職の首長、議員、教育長、助役、収入役の本人

3）非常勤特別職公務員(除区長又は自治会長、消防団員)の本人＝該当者；教育委員、選挙管理委員、監査委員、公平委員、固定資産評価委員

4）名誉市民、功労者の本人の死亡の場合
(例）橋本知事妻　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

左欄以外の全ての本人又はその親族の死亡の場合の支出

1）職員及び関連機関の従業員への支出＝職員互助会があり首長も会費を出している上、一般会計から互助会へ補助金が支出されている。互助会対象以外の者に対しても首長は市民の代表であることを考慮すれば「関係者」であることのみで慶弔意を表現するのは好ましくない。慶弔意の対象は直接間接に市民から選ばれた者に限定

(例）総務課主事A氏実母、市民病院看護婦B氏実父2)その他の公人、公務員への支出＝公社、公団、事務組合、学校、給食関連、各種委員会・協議会・研究会消防署、警察署、税務署、法務局、国交省、県庁、その他

(例）結城警察署長C氏実父、県西地方総合事務所員D氏本人

3）マスコミ関係者及びその他への支出
(例）OO新聞記者父、商工会議所E氏

4）葬儀以外の新盆・法事などへの支出
(例）名誉市民妻への新盆御霊前

3.病気見舞金　

該自治体と密接な関係にあり又は貢献のある個人であって

1）現職の首長・議員・教育長・助役・収入役の本人

2）現職の非常勤特別職公務員（除区長又は自治会長）の本人＝該当者；2-3）項に同じ

3）名誉市民、功労者の本人への病気見舞金　　　　　　　　　　　　　　　　

左欄対象者への病気見舞金以外の一切の見舞金

1）職員及び関連機関の従業員への病気・近火見舞金

2）その他の公人、公務員への病気・近火見舞金

3）マスコミ関係者及びその他への病気・近火見舞金

4）選挙候補者への陣中見舞金
（例）衆議院議員・赤城徳彦への陣中見舞い、
石下町長候補・飯塚富雄への陣中見舞い、
大洋村長候補・石津政雄への陣中見舞い　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

4.結婚祝い金

該自治体と密接な関係にあり又は貢献のある個人であって

1）現職の首長・議員・教育長・助役・収入役の本人

2）現職の非常勤特別職公務員（除区長又は自治会長）

3）名誉市民、功労者の本人への結婚祝い金

左欄対象者以外への結婚祝い金

1）職員及び関連機関の従業員及びその親族＝理由は2-1）項に同じ（例）市民税課F氏結婚祝い金

2）その他の公人、公務員及びその親族
（例）築西広域事務局長G氏結婚祝い金

3）マスコミ関係者及びその他　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

5,.その他の祝い金、祝儀等

該自治体と密接な関係にあり又は貢献のある個人及び団体であって

1）名誉市民、功労者の顕彰・表彰に伴う式典等
（例）結城市名誉市民顕彰・市功労者表彰祝賀式（下館市長が支出）

2）市民にとって名誉となる行為、業績（但し３万円以下、それ以上は予算として計上する
（例）全国高校サッカー選手権大会出場へ祝儀

3）自治体主催の各種祝賀会、賀詞交歓会、レクリエーション等への祝い金
（例）あけの元気館竣工祝賀会（下館市長が支出）、栗山村平家大祭

左欄以外の個人及び団体又は催しへの一切の祝い金、祝儀、餞別金等＝特に餞別金の公費負担は一般になじまず、私費で負担するのが通常である

1）職員・関連機関の従業員・その他の公人及びマスコミ関係者への餞別金
（例）総務課H氏退職餞別金、古河警察署長I氏転任餞別金、OO新聞記者転任餞別金

2）視察研修参加者への餞別金
（例）駅周辺整備特別委員会行政視察へ餞別金、猿島町長海外行政視察へ餞別金

3）民間の個人及び団体の主催する行事（含住域、企業、各種団体）への祝い金等
（例）小川自治会夏祭り祝い金、OO（株）つくば工場納涼祭会費、ロータリークラブ創立OO執念記念式典、OO小学校運動会祝儀、第15回茨城の太鼓演奏会祝い金、地区集会所竣工式、連合茨城下館地域メーデーへの祝儀、民間の賀詞交歓会

4）選挙候補者への当選祝い金
（例）つくば市長藤沢順一への当選祝い金、総和町長菅谷憲一への当選祝い金、衆議院議員中村喜四郎への当選祝い金（5本）

5）その他の宴会等への「祝儀」名目の支出
（例）総和町文化協会新年会への祝儀、体育協会役員新年会へ祝儀、消防団新年会へ祝儀

6.贈答

1）首長（含収入役）、職員が他機関、諸団体又は個人を公務あるいは視察研修で訪問する場合に社会通念上認められる範囲の手土産
（例）企画課の真室川梅まつり視察（町長、課長、企画課へ）、OO商事（株）課税誤りの説明と還付

左欄以外の一切の手土産、中元、歳暮その他の贈答

1）官・官、官・政の贈答＝左欄に該当する場合でも官・官、官・政間での手土産の授受は遠慮すべきであるし、中元・歳暮の贈答は認められない
（例）懸案事項の協議（赤城徳彦、額賀四郎、中村喜四郎、）、知事来訪時の手土産、結城警察署へ中元

2）該自治体に所属する各種委員会・組織が公務で訪問する場合＝委員会・組織の経費で処理する
（例）国保運営協議会の視察研修（笠間市役所年金課へ）

3）マスコミ関係への贈答
（例）記者クラブへ中元

交際費としての支出を認めない種別

＊賛助金（含購読料）必要なものは（例）「負担金補助金及び交付金」で予算化する。　(例)　７／４原水爆禁止国民平和大行進、茨城保護観察協会、茨城県母親大会、第１１回わたしのまち　づくり学校、高齢期要求実現をめざす秋の第運動会　(但し、予算化しても認められない例)　市会議員野球大会、日本皇民党皇誠塾本部、北方領土返還推進委員会、茨城政界新聞

＊宴会への支出

　忘年会、新年会、送別会や�総会�と称する宴会が主体の会合等への支出は支出基準１－２）項又　は５項に該当するとはみなせないので一切認められない。　(例)　校長会教頭会歓送迎会、防犯協会OO会総会懇親会、地区自治委員会総会懇親会、消防団忘年会、　母子寡婦福祉会クリスマス会、下館記者クラブ送別会

＊宗教的行事への支出

　自治体が主催するか否かにを問わず宗教行事又は宗教的行為・内容を伴う行事への一切の支出を　認めない。また住域が行う宗教的行為を伴わない夏まつり等の各種行事・祭りも５項「その他の　祝い金、祝儀等」の認めない対象に相当するので、これを認めない。　(例)　例大祭針供養、鳶工業組合太子講、遺族会連合会靖国神社参拝、神明神社鳥居落成式、OO地区盆　踊り大会

＊賞品など

　年度初に支出が予想されるものなのであらかじめ予算化する。

●茨城県全自治体（84）に要望書を提出

市民オンブズマンいばらき　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2002年8月3日

首長交際費の減額見直しと支出基準の確立を求める要望書

　「市民オンブズマンいばらき」では、情報公開が制定されている自治体に向けて、情報公開度チェックをしてきました。その中で首長の交際費が、機密費的な使われ方をしていることが明らかになりました。その使われ方は、地域の特殊な政治状況をも写し出していました。年間何百という香料は、はたして、交際費という範疇に納められるのか、選挙地盤の祝い事に公金を使っていいものなのか、官と官の間の餞別や贈答は本来不自然ではないのか、市民は首長が気前良く置いていく金銭は、公金、税金、元を正せば市民の払った血税であることを知っているのだろうかなどと、幾つもの疑問が噴出してきました。各地でも、情報公開が進むにつれ交際費のあり方が、市民団体の関心ごととなってきました。そのような中で、市民から見た交際費の基準を作ってみようという意見が当会にあり、1年間をかけて討議され、この度「市町村長交際費支出基準」添付資料を作成した次第であります。
　作成にあたっては、自治用語辞典の、「交際費は、一般的には、対外的に活動する地方公共団体の長その他執行機関が、その行政執行のために必要な外部との交際上要する経費で、交際費の予算科目から支出される経費である。交際費は対外的折衝のために使われるものであるから、直接行政事務、事業の必要上開かれる各執行機関、議会等の会合における食糧費的経費については、これをもって経理すべきではなく「11需要費」として経理すべきである。」と書かれている解釈を市民の目で見、時代背景等を鑑みて14自治体の1年分の交際費を参考に検証しました。

　私たちの、交際費支出基準に合わせるとほとんどの自治体は2割以下の支出で間に合うことが判明しました。各自治体のそれぞれの事情はあると思われますが、交際費という名目では、先に上げたような支出すべきではない項目も多くみられます。支出額が大きすぎる団体がほとんどです。　
　茨城県の政治風土は特に古い体質を温存しており、昨今でも業際研の事件でも明らかになったように、選挙と政治と金・利権の関係が大きな政治的課題として底辺に暗雲としてあります。それが、交際費という項目に写し出されていることも事実のように受け取れます。このような政治不信から市民の信頼を得るためにも、交際費の使途を明解にしておくことが大切といえます。　

ちなみに、資料として添付しました岡山市の交際費は、ホームページで一ヶ月ごと公開しています。そのような自治体が増えてきています。岡山市は人口63万の都市ですが年間130万の交際費でまかなっています。

　茨城県には30万都市はありません、しかし130万以下の交際費支出団体はあるでしょうか、ここに上げた14自治体にはありません。ここからも見受けられるように、交際費の減額見直しと支出基準の確立は必要不可欠と思われます。
　以上の観点から私たちは、市民の立場から要望書を提出するものであります。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　市民オンブズマンいばらき
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　代表　幹事　　　　　　野口　修
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　同　　　　　　　　　　谷萩陽一
　　　　　　事務所/水戸市梅香2丁目2番45号　朝日ビル2階　水戸翔合同法律事務所内