第4回筑波大学の現状を語る会報告

2001年3月6日
筑波大学教職員組合・筑波大学教職員組合つくば連絡会

 梅の花が咲き、春一番が吹き、少しずつ春の気配を感じる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。さて、遅くなりましたが、2月15日に開催した第4回筑波大学の現状を語る会の報告です。


学習会

 今回は、二人の方に報告をお願いをして学習会をしました。どちらもたいへん重要で、学ぶことの多いお話でした。以下に、どんな内容だったか概要を報告します。テープがありますので、必要な方はご連絡ください。ダビングしてお送りします。


1 独法化と大学教職組の課題   講師:斉藤 安史氏(群馬大教職組元委員長)

(1) 群馬大学で高分子化学の研究をしている。3年前に任期制問題が起きたときの組合委員長で、学長選挙にあたりその是非を問う立ち会い演説会などに取り組んだ。
(2) 勤務条件の問題などとともに教育や大学の運営の問題を重視したいと考え、群大では「教養問題」のシンポジウムなどを開いてきた。全国的にも、日教組の大学部から全大教となり、大学独自の教職員集会(いわゆる教研)などが進んできた。
(3) 95年の科学技術基本法を皮切りに、98年の大学審議会、翌年の学術審議会などをうけて、「競争的環境」という方式が強められている。この中で、「科学・技術」が偏重され「学術・研究」が軽視されていく傾向が強まっている。
(4) 町村文部科学大臣などが「科学技術立国」「教育立国」という。それをおぎない支える「学術・研究」という位置づけになる。「競争的環境」という名の下に競争的資金を多くして経常費がけずられる。「独法化」もこの脈略でとらえる必要がある。
(5) 独法化については、5〜6年の中期計画と評価の問題が大きい。現行法では、文部科学省からさらに上の総務省が評価することになる。これがはたして大学や研究機関についてふさわしいのか。

2 独法化の現場から        講師:川鈴木 宏氏(筑波学研労協事務局長)

(1) 学研労協とは、筑波学園都市研究機関労働組合協議会。この4月に独立行政法人として発足する産業技術総合研究所(略称産総研・旧通産省傘下の工業技術院などが統合されるもので、我が国第一の規模の公的研究機関になる)の事務職をしている。
(2) 独法化にむけ、とくに会計部門などは企業会計原則にあわせたシステムに作りなおすために、今、2倍の仕事量になっている。予想以上である。大学は、収入が多いからもっと大変だろう。労働組合の立ち上げどころではなくなる。「独法化になれば」といわれてきたバラ色の見通しがくずれてきていることが多い。
(3) 予算の問題では、今まで研究費が1人あたり100数十万円来ていたのが、「運営交付金(渡しきり交付金)」として総額で来ることになる。テーマを出しリーダーが評価したところにつく。中期計画−中期目標−年度計画の上に予算配分となり、産総研では今までより重点配分となる。
(4) 産総研では年功序列はやめる。基本給与に加え、職責に応じた手当が任期の期間にのみつく。任期には評価がからむ。生活設計が難しくなる。労組としては反対だが、就業規則の範囲内で一方的に決められる。現在産総研が突出しているが、大学への影響は考えられる。
(5) 産総研では、採用の2/3が任期付きとなる。若手育成型は5年となったが、最後の1年は就職活動になる。継続性も含めて研究がどうなるか。今のところ、去年の3年終了者の9割方はパーマネントになった。
(6) 組合や労働条件などの問題ついて、弁護士は、今の国家公務員法の枠で守られるより労働基準法下の方がいいという。闘えばそれなり勝てるからである。理屈の上ではそうだが、今までは弱くても国公法(国家公務員法)で守られていた状況が、そうではなくなる。ほぼ民間と同じになり、闘いがいはあるが、弱ければやられる。就業規則と労使 協定(36協定・超過勤務の規定など)と労働協約が組合にかかわる。就業規則があっても労働協約が優先する。影響力を持つ労働組合の役割が大きくなる。学研労協の横のつながりも大変大事になる。

<討議から>
(1) 筑波大の「任期制」について、公式のもののほか、学内の紳士協定で行われている独自のものがあることなどが話題になりました。
(2) 技術職・事務職などは独法化でどう変わるのか、という質問が出されました。基本的には、「目標と評価」という民間型の勤務評定がはいるとのことでした。人件費は大枠で、4つランクが設けられ、どこかを上げるとどこかが下がる仕組みということです。


参加者の発言から

 初めて出席された方から、「つくば移転以後、教育大の以来の組合を附属学校が守り、存続させてきた」という理解をしており、「つくば地区でもっと堂々と活動して組織を広げていって当然だと思う」という趣旨の発言がありました。教育大学時代に組合員だった方は、「20数年分の組合費を払えといわれると困るが・・・」と笑いながらおっしゃり、いずれ組合に加入することを表明されました。大変励まされる発言でした。


「つくば連絡会」のこと

 つくば地区の方によって昨年12月「つくば地連絡会」(3月に名称を「つくば地区連絡会」から改称)が発足しました。まもなく郵便振替の口座ができることなどが報告されました。連絡会の活動を12月の文書から再録します。連絡先は、当面は附属駒場中高・丸浜です。
(1)つくば地区で語る会・勉強会を今後も行っていく。
(2)語る会・勉強会の企画、講師・会場手配、参加よびかけを行っていく継続的な会「筑波大学教職員組合つくば連絡会(略称:つくば連絡会)」を作る。
(3)つくば連絡会は、(1)部会つくり (2)語る会・勉強会の主催 (3)別の「組合つくりの動き」との連携、の三つに取り組む。
(4)同会の招集世話人・責任者はつくば地区の人とする。当面は連絡先を筑波大学教職員組合とさせていただく。人数が多く集まった段階でつくば地区連絡先を明確にする。
(5)構成員は筑波大学職員とする。
(6)連絡費として1,500円(年額)を募る。


シンポジウムの構想

 これまでいただいたアンケートの回答の中に「昇格や任期制の問題」「教授職の会議の多さ」「機構の複雑さ」「事務の多忙さ」、「技術職の位置」「看護婦さん問題」など、現在の筑波大学で共通認識を広げていくべきさまざまな課題が提起されています。特殊な大学としてスタートした筑波大学は、独法化を前に、一定の全学的な「点検」をすべき時期に来ているのではないでしょうか。独法化の学習などとあわせたプレ集会を重ね、筑波大学の現状を考えるシンポジウムとでもいうようなものに集約していきたいと思います。ぜひ、ご協力下さい。


追記 : 「ユニオン」のこと

 今回のアンケートの回答で、独自の組合作りを目指す「ユニオン」と筑波大教職組とどうかかわるのかという質問をいただきました。ぜひ一つのものにして欲しいとい意見もいただきました。筑波大教職員組合としては、昨年11月につくば地区のほぼ全教職員に郵送した「筑波地区に教職員組合組織を−大学教職員組合を本来の姿に−」で、以下のように記しました。
  筑波大教職組は、1978年に東京教育大学が筑波大学に完全移管した時点で、名称を「筑波大学」教職員組合とし、組織・財政は東京教育大教職員組合をそのまま引き継ぎました。当時の複雑な経緯の中で、東京地区の附属学校のみに組合組織(部会)が残りました。しかし本来は大学教職員組合です。規約上、3名以上の組合員で部会をつくる形で、筑波大学内のどこにでも組合を広げていくことができるようになっています。・・・私たちは、何らかの形で筑波地区に部会をつくっていただくことで組合組織を全学に拡げていくことができないか、と考えています。
 しかし、筑波と東京で日常的な交流は容易ではありません。既存の組合の部会とするにしても、実質的には、筑波地区で新しい基盤の上に組合組織を作ることになります。私たちとは独立した組合を結成されることもあり得るでしょう。その場合でも私たちは、協力関係を築いていきたいと考えています。
 現在でもこの立場に、かわりはありません。つくば連絡会も、別の「組合つくりの動き」との連携を掲げています。

★ 今回の会合に、東京からは三役の4人が参加しました。



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