雪篠>私は、言葉に限らないんですけど、既存の明確な何かを作中に取り込むのって苦手で。

雪篠>持ち込むからには、自分なりの意図を持ってそこに配置するってことなんだろうけど、じゃあそれについて相手が知らなくても同じ意図を伝えられるのか、とか。そういうの考えたら、じゃあ背景の説明が必要なのか、とか、それは余剰だろとか、そういうのがわからないんですよね。

麒麟>雪篠さんの小説は自立しているからではないでしょうか。

雪篠>えー?<自立

麒麟>うっかり忘れていたんですが、タイトルどころか全詞載せちゃってるよな長編を大学4年間で書いていたようなんですよ。

雪篠>ようなんですよって(苦笑)

麒麟>いや、引用しまくりだなあ、って。

雪篠>作品がそれで成立してるんだから問題ないと思いますけど。

麒麟>さらに「雪篠さんの作品を引用しよう企画」とかもやってます。覚えてますか。

雪篠>ああ、ありましたね。いわゆる本人をよそに楽しむシリーズですね。

麒麟>あ、ひどい。確かにめっちゃ楽しんでましたけどね。

雪篠>楽しそうでいいなあ、と思う反面、同じこと振られたら絶対キツイなって思ってました(苦笑)

麒麟>あれは雪篠さんの作品だからできた企画だったんで、他ではやらないですよ。

雪篠>うちのだから、ってのも、なんていうか、諸々複雑ですが(苦笑)

雪篠>自作で、引用っていうと、ない訳ではないんですが……やっぱり、ちょっとこれまでの話の流れ的な意味とは違ってるかも。

麒麟>というと?

雪篠>いや、それこそ扱いが難しくて困った、の実例ですけど(苦笑)お題でシェークスピアの某セリフが指定だったやつとか。 『ヴェニスの商人』より「悪魔でも聖書を引くことができる」ですね。

麒麟>なるほど。それは扱いが難しいですね。引用する言葉が決まっているのは難しい。

雪篠>自発的に既存のを取り込んでってなると、あー、通称「カレーの話」でマザーグース引用したのとかかなあ。

麒麟>マザーグースこそ、みんな知っているものじゃないと思うんだけど。

雪篠>まあ、ぶっちゃけ知らなくてもさしてストーリー上、問題はないんですよね、あれ<マザーグース

雪篠>ので、当初、全文をトップに掲載してたんですが、別にいらないな、と思って、リニューアル後にカットしたし。

麒麟>プチリニューアルしてるんだ。<マザーグース

雪篠>プチリニューアルというか……終わらないサイト改装の流れで(遠い目)

雪篠>あと、これもお題で『好きな歌の歌詞、音のイメージで』とか(苦笑)引用は、しなかったのかな。ちょっと記憶曖昧ですが。

麒麟>それは貴女、苦手そうね(笑)

雪篠>まず、ある程度みんな知ってる歌ってのが前提ですからね(苦笑)

麒麟>たぶんね、そんなとこにまで気をまわしているから難しいとか思うんですよ。

雪篠>え、だって、お題で、相手が知らない歌だったらあれじゃないですか(苦笑)いや、実際私の作品があれだったので、何の歌か当たらなかったんですが<お題作品

麒麟>そんな初対面でカラオケ行ったときみたいな発言(苦笑)<相手が知らない歌

雪篠>それはあなた、知らない曲歌っても「うわ、何このひと歌うまっ」ってリアクション取れる人だから、気にしなくていいんですよー。そこ重要なとこですよ?<初対面のカラオケ

麒麟>「うわ、何このひと歌へたっ」が最強ですよ。

雪篠>その最強はどーなんよ(苦笑)

麒麟>また一緒にカラオケ行きたいって思いますよ。

雪篠>うーん(苦笑)

麒麟>いや、へたなんだけど、また一緒に行きたくて、何度も聞いているうちに慣れてきてむしろ堂々としていて、もうこの人私のアイドルでファン心理なんじゃないかとか思っちゃうような、歌唱力の人。<最強

雪篠>いや、最強だけれども!(苦笑)いいよ、もうそれは。なかなかそこまでは、それはそれで到達できないし。

麒麟>すごい人がいたもんだ(笑)

雪篠>いや、知らないし。

麒麟>話は戻るけど、雪篠さんは引用される人は神レベルってのはわかるけど、引用する側をどう思います?

雪篠>どうっていうのは? 批判的か肯定的かって意味合いでの、どう?って話ですか?

麒麟>そうです。

雪篠>引用の仕方や量にもよるだろうし、一概にはいえないですけど。私、基本的には、それに限らず何事も読み手に対して成立してればいいんじゃない、ってスタンスですね。

麒麟>なるほど。

雪篠>引っ張ってきすぎてて、それもう二次創作だよね、みたいなのとかは、元ネタわかんないと読めたもんじゃないってなるんだろうし。ケロロとか銀魂とかみたく、パロネタ満載なとこがネタですっていうのは、あれはあれで成立してるんだろうし。

雪篠>でもあれだって、多分制作サイドは結構「通じなくても(何らかの元ネタがあるってのがわかった上で)何となく笑えて、通じる人には二度美味しい」的ラインを成立させるのにはこだわりがあるんじゃないかな、とは思う。<パロネタ

麒麟>微妙なところですね。結局のところ読み手次第。

雪篠>まあ、何でも多かれ少なかれそういう部分はあるんでしょうけど、一般的じゃないところへいけばいくほどってのはありますよね。

麒麟>その匙加減が絶妙ってとこが美味しいですよね。制作者のこだわりですよね。<パロネタ

雪篠>ですね。ドンピシャな人から見たら「えー、これってでも自分らより下の子達って通じなくない?(苦笑)」みたいな世代の共通概念を確立したりとか(笑)でも、得てして、案外に広く通じてたり、通じてなかったり。

麒麟>引用って、どこまで知るかってことを読者に委ねている感じが好きですね。

雪篠>ああ、調べる人は気になったら調べるだろうしね。

麒麟>そうそう。

雪篠>ただ、私はやっぱりその辺の匙加減は難しいなあと思うので、読む分にはいいですけど、自分で使う場合には慎重にならざる得ないかなあ。

雪篠>通じないだけならいいですけど、パクリだの、そもそも解釈が違うだのとか、そういう問題が付随してくるのは面倒くさい。


何事も大事なのは愛なんだよ?