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訳者注:この記事の朝日新聞と毎日新聞の引用部分は、それぞれ当該記事本文とやや表現に違いがある。しかし朝鮮日報の記事をそのまま翻訳した。
「日本で好評を得る韓国演劇/『草墳』東京公演、激賛」
朝鮮日報(1980/12/3)

在日僑胞2・3世らが中心になって韓国の文化芸術を日本に紹介するために組織された韓国演劇上演会(代表李三郎)が、11月11日から18日まで東京のルピリエ小劇場で呉泰錫の『草墳ー島の掟』を公演し、日本演劇界とマスコミの好評を得た。

公演を前後して日本の全国紙である朝日新聞、毎日新聞、読売新聞などは『草墳』の作品内容と評を大きく載せたし、東京新聞など10あまりの新聞と放送がこの作品の演出の為に渡日した作家の呉泰錫氏のインタビューを扱った。

朝日新聞は11月12日付の夕刊で「驚くべき表情の豊富さ」という題で『草墳』の公演内容を掲載した。「韓国の現代劇がわが国で上演されることはきわめて珍しい」としたこの記事は、「こんかいの舞台は作家の意図を充分に伝達、圧倒的なエネルギーで見る者の胸に迫ってきた。ことに興味深かったのは仮面劇の伝統を受けた身体所作で、韓国でオケチュムというこのような動作は歌舞伎の基本だという説もあり、われわれの身うごきと関連させて考えさせる」とした。

また「エネルギーの噴出方向がたいへん外面的で、その意味からわれわれよりもはるかに表情の豊かなことに驚くほかない」と評した。

毎日新聞は「無名に近い若者たちの手で韓国の現代劇が日本に紹介されることは初めてのことであり、各方面から注目された」とし、代表の李三郎氏と作家呉泰錫氏の言葉を引用して『草墳』を紹介した。

李氏はこの記事で『草墳』は「米国と西ドイツで公演され、好評を得た作品」だとし、「ニューヨークで公演を見た若林彰氏(国際青年演劇センター代表)が英語になった劇本を翻訳し、作品化した」と明らかにした。助演出を担当した日本人の西村仁氏は「『草墳』は全南の離れ島に残っている葬礼で、土俗的な感じを与えるが、実際には宇宙的感覚だといえるほどの現代劇」だとし、「80年代を生きる若者たちの感覚によくあう作品」だと話した。

作家の呉泰錫氏は「私は日本語をしゃべらないが、言語の壁を感じないほどに日本演劇人たちと意識が通じる」とし、「韓・日両国の若者たちが率直に文化を交流していけば、両国の関係も現在とは変わるだろう」と話した。李三郎氏も「日本の若者たちが色眼鏡をはずして政治と理念をこえて人間的交流が必要なとき」だとし「韓国のほんとうの姿を日本に知らせるためにも両国の文化芸術交流が豊富にならなければならない」と話したと毎日新聞は報道した。

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