≪Theatre Reviews
「従軍慰安婦問題を謝罪する、日本知識人の良心宣言の舞台」
イ・ソンオク記者/ハンギョレ新聞(1995/11/26)

「国家の命令であり天皇陛下の命令だ」「日本人だという事実が恥ずかしい」。ソウル大学路のウネンナム劇場で去る17日に幕を開けた日本演出者協会理事長のふじたあさや作・演出の『うそつき女・英子』は、日本軍慰安婦が日本政府の次元でおかした犯罪であることをはっきりとさせ、これを謝罪する「ひとりの日本知識人の良心宣言」だった。

忠実な事前取材で慰安婦の現在と過去を緻密にみせてくれる『うそつき…』の中心内容は、「政府とは関係なく軍隊がおかしたこと」であるとして責任を回避する日本政府の態度に憤慨した慰安婦出身のハルモニの歴史的事実に対する証言だ。

一日に多ければ60人あまりの軍人に当たった話、死地に捨てられた韓国人とは異なり日本人慰安婦は安全に本国に送還されていた事実などの過去と、数字を正確に記憶できないハルモニたちを嘘つきと看做してしまう現在の日本の雰囲気などが密度高く描かれる。

初日の公演を見たキム・スンドク氏(75)、パク・トゥリ氏(73)らの慰安婦だったハルモニ4名は、「事実をあるがままに表現した」と評価した。慰安婦だったハルモニたちを共感させ、観客たちの緊張を一瞬もゆるめさせい『うそつき…』は、繊細な事実の描写以外にも慰安婦問題を効果的に伝達する劇的完成度が際立った。

「挺身隊日軍警合同募集」「彼らは獣だった」などの太く大きい新聞記事見出しが鮮明に刻まれている4つの柱だけを背景に、静けさの中に力を瞬間瞬間で爆発させる演出の腕前は粗のつけどころが無かった。サカモトヨシミの小粋な照明と、韓・日の伝統楽器が醸し出す音がこれを助けた。

とは言え、韓国で慰安婦を動員する過程で日本軍ではなく親日韓国人だけが登場してその役割を果たしたことと描写された劇の先頭は、「日本政府の組織的動員」という事実をあいまいにする惜しい部分だった。