劇団チュルゴウンサラムドゥルが日本の劇団影法師と韓・日合同公演として影絵劇『かぐやひめ』(キム・チァンレ&鵜山仁共同演出)を国立劇場大劇場で上演した。原題が『竹取物語』の『かぐやひめ』は1000年以上前から伝わる日本の説話で、ある老夫婦が竹の中に見つけて育てたかぐやひめが、大きくなって月に帰るまで経験することになる話を子供向け影絵芝居として作ったものである。
幕が上がると言語疎通のために日本俳優2名が韓国俳優2人(キム・ヂンマン、チョン・ヒョンア)に進行を頼んで退場した後、劇の進行はわが国の俳優らの説明とともに始まる。影絵人形のセリフも韓国語ダビングで処理し、外国語が与える意思疎通の障壁を無くして、わが国の服を着た俳優と着物を着た人形が舞台に一緒に存在することで、この公演が韓日合同公演として行われていることを表した。その後に2000年東京の華麗な夜景と月を映像で見せ、その月は1300年前とまったく同じだという説明とともに月をズームアップした後、昔に時間をさかのぼる。
このように始まった『かぐやひめ』の話は竹林の影絵を背景に、成長するかぐやひめ、老夫婦、動物たちの影が纎細で精緻に、セリフとともに動いて行く。状況によって背景を変えて投影する横16mの大型画面を中央の背景に、左側舞台にかぐやひめの住む家が立っていて、右側と中央舞台は躍動的に変化した。画面にあった影絵が役者と人形で舞台に直接登場したり、また画面の中に入って行って影絵として動いたりする。風浪にあった船が画面の中で搖れたかと思えば、舞台の上に白い布地をひらひらさせ風浪を舞台で直接表現したりする。釣り糸を投げるときは水のはねる音まで聞かせて、かぐやひめが老夫婦と話す夜ともなれば、背景画面に月が昇っていて蛍が飛びまわる。最後にかぐや姫が月に帰る時は、天井から白い布が両方へ落ちて垂れ下がり、かぐや姫は銀色に輝く中を空に上がる。月は再び過去から今日の東京を照らして、両国の俳優はお互いにあいさつして幕を閉じる。
公演は芝居の始めと終りを效果的に処理しながら、見どころを豊かに提供している。精巧な影人形の調整、幻想的な色彩の画面を背景に繰り広げられた黒い影絵と色彩影絵の調和、影絵と役者と人形をひとつの舞台で一団となるようにすることで、影絵劇の新しい様式を見せた。しかし公演様式が新しい視覚的な楽しみさを与えた一方で、内容が与える感動やメッセージがはっきりと伝わらなかった。特に出会いと別離、愛と悲しみ、偽りと虚欲などのテーマが話の中に入っているが、幼い観客たちが散らばっているテーマを蝕合して各自の感動として抱きとめるには結末が弱かった。このような惜しい点を乗り越えたなら、わが国の公演史に命脈が切れたような感のある影絵芝居を新しい様式で鑑賞できたし、韓日合同公演として両国の芸術家たちが一緒に作業したという点で、観客と芸術家両方に意味のある公演だった。しかしこんかいの公演の意味を日本の影絵芝居の紹介と韓国の演出家と俳優の参与にとどまらず、新しい様式を受容して我々の伝えたい内容をこめて現代的な影劇として我々の舞台に復活させることを期待する。