≪Theatre Reviews
「日本の新世代演出家の静かな動き〈大きな反響〉」
金明煥記者/文化日報(2000/10/24)

90年代日本演劇界を席巻した「静かな演劇(quiet theater)」ブームが米国に上陸した。

ニューヨークタイムズは22日、日本の新世代演劇の騎手平田オリザの代表作『東京ノート』の米国初演をきっかけに、日本の新しい演劇運動が米国に紹介されると報道した。

来る26日から3日間、ニューヨークのジャパン・ソサエティーで上演された後にフィラデルフィア、ピッツバーグ、加ビクトリアの巡回公演を経る『東京ノート』は、凄惨なヨーロッパ戦争が終わった2004年の日本を舞台に繰り広げられる。戦争の暴力性を告発する暗い惨状よりも、世界と遊離して狭い世界に閉じ込められている日本人たちの無感覚な現実があらわになるこの作品は、英語字幕とともに日本語で公演される。

1995年に岸田演劇賞を受賞した『東京ノート』は日本公演で大成功を収めた後、すぐさま90年代の日本の新世代演劇の古典として定着し、評論家らから〈静かな演劇〉という名前を与えられた。〈静かな演劇〉という名前は、ロックバンドの狂的な音楽や衝撃的な舞台効果などで騒々しく進められた80年代の日本演劇とは異なり、自然で写実主義的で分析的な演劇として静かになったために付けられた。

米国公演の演出を引き受けたポーラ・ローレンスは「私は多くの日本演劇を見たが、平田はスタイルとイズムにおいて前世代と確実な決別を告げる。彼は観客に向かって誇張されたアクションとセリフを投げるように未来主義的でも表現主義的でもない。彼は静かで微妙だが、数多くの考えに満ちた演劇を見せてくれる」と話す。

朝日新聞は「60年代から80年代まで、日本の演劇は実験劇であれ正統劇であれ、大きく見て演劇的な要素を強調し、日常をとびこえる巨大言説を扱うというところで映画監督の黒沢スタイルの影響下にあった。しかし平田は日本演劇の流れを日常的な現実に戻した」と書いた。

平田の演劇は他のアジア諸国に対する日本の態度に対して非常に批判的な立場をとるところで、日本の進歩的知識人たちの社会運動の伝統を受け継いでいる。彼の政治的立場は、過去日本の植民地だった韓国に対する彼の態度に象徴的に現れる。韓日合併に対して〈日本の政治・文化的植民主義〉という批判を加える彼の立場は、『ソウル市民』と『ソウル市民1919』の連作シリーズによく現れている。韓日文化交流の一環として日本と韓国で公演されたこれらの作品は、ソウルに居住する日本企業人の家庭を通じて韓国の独立運動を照明する作品だ。彼は「日本の民族主義が世界第二次大戦を起こした。今日、危険は赤裸々なファシズムにあるのではなく、むしろ日本人の無知と無感覚にある」と強調する。

大学時代に交換学生として韓国で一年間就学したりもした平田は、韓日両国の関係を文化的優越主義と経済的搾取過程を経た英国とアイルランドの関係で説明する。「今日も日本の政治家らの間には植民主義を正当化したい人がいます。日本の民族主義は過去に第二次大戦世界を起こした。しかし今日の問題は赤裸々なファシズムにあるのではなく、日本の民族主義と無感覚にもっと大きな危険性がある」と指摘する。

日本の評論家らは平田の演劇が日本人を眠りから目覚めさせ、世界の現実を直視して考えさせるという意味で、「静かな演劇」というよりは「覚醒の演劇」と名付けられなければならないと言う。