「韓半島分断の責任は日本にもあると思います。演劇公演を通じてこのような過去史を直視し、日本の反省を促さなくてはと決意しました」。来る20〜23日、ソウル東崇洞の文芸振興院芸術劇場大劇場で公演される演劇『その日、その日に』の演出者伊藤勝昭(59・写真)が来韓し、17日に記者懇談会を行った。日本のプロジェクト劇団「三一の会」が公演するこの演劇は、韓半島分断による失郷民の恨みと痛みを描いた作品(文化日報2月24日22面で報道)。
李盤(崇実大文芸創作課)教授の戯曲である『その日、その日に』は江原道束草の「アバイ」村にあった実話を土台に、故郷を失って生きていく失郷民の漁師らの恨みを通じて分断の痛みと統一問題を照明する。このように極めて「韓国的な」作品を公演する劇団「三一の会」は、日本の良識ある演劇人たちが去る2000年に結成した団体。90年代初頭から韓・日演劇交流に参与してきた日本の演劇人たちが、2000年3月に東京で3・1運動当時の日本軍の蛮行を描いた『ああ堤岩里』(脚本李盤)を公演したことがきっかけとなった。当時、公演に参与した日本人俳優らが宗教と理念や階層を超越した3・1運動の崇高な精神に感動し、プロジェクト劇団を作ったもの。
現在、劇団現代、世代、無限界など8つの劇団に所属している30人あまりの中堅演劇人たちで構成されている。
今回の公演のために20人の団員と共に韓国を訪れた伊藤は「昨年3月、東京韓国YMCAスペースで『その日、その日に』を8回にわたって公演したが、客席をどけても足りず、補助椅子まで動員しなければならなかった」とし「ほぼすべて日本人だった観客の中で、若い層は演劇を見て〈ああ、あんなことが隣国であったんだ〉と衝撃を受けたという反応を見せ、年配の観客らは〈私たちのせいであのようになったんだ〉と反省の気味を見せた」と紹介した。
「公演を準備しながらたいへんな点はなかったか」という質問に、伊藤は「日本人だから分断の痛みを経験しなかったことが一番たいへんだった」とし「間接的な体験でもするために、俳優たちと共に韓国戦争に対する本やビデオなどを探すなど努力した」と話した。特に日本公演では極めてリアルなドキュメンタリー技法で公演したが、今回の韓国公演ではこのような間接体験を活かし、より豊かな感情表現に注力すると説明した。日本の俳優たちの公演であるだけに台詞も日本語で行われ、観客のためにプロンプターを動員、韓国語字幕で処理される。またソウル公演を終えた後の25日には江原道束草に下りて、束草文化会館大劇場で地域住民を対象に公演する計画だ。
このように東京とソウルや束草を行き来して公演するには、経費もまたたいへんだろう。これに対して伊藤は「率直に経済的な部分が一番たいへんだ」とし「日・韓文化交流団体である東京の日・韓文化交流センターで航空券を提供してもらい、日本企業メセナを通じて中小企業の寄付金を少しずつ受け取って充当している」と言った。しかしそのような寄付金は規模が極めて小さく、けっきょく俳優たちの自発的な参加に期待している事情だ。
日本の広島出生の伊藤は原爆投下の2ヶ月前に生まれ、青少年時代を広島で過ごしながら日帝時代に強制徴用で日本に連れられてきた朝鮮人たちの子供たちと親しんだと打ち明けた。したがって、日帝植民地期から始まった韓半島の悲劇と痛みに対してかなり敏感な方だ。小泉純一カ首相の神社参拝に対し、「いまだに日本が犯した過ちを反省できない政治家たちがいて、これは一部文化界人士たちも同じだ」とし「演劇を通じて過去史について徹底的に認識させなければならないという使命感を持っている」と強調した。