ソウルで開かれた「第5次第三世界演劇祭」に日本の能が公式招請される。また「KSEC(国際青年演劇センター)」が前年に東京で呉泰錫の『草墳』を上演した「韓国演劇上演会」との提携で『海峡』(亀山孝治作、パク・ピョンヤン演出)を文藝会館小劇場で上演した(3/18〜19)。このとき舞踏集団の「白虎社」が参加し、女性が裸で踊るというので評判になった。演劇評論家の李泰柱(イ・テヂュ)は「日本のKSECの『海峡』はアルトー的な残酷性とグロトフスキーの裸の舞台の実現だったが、舞踊的要素と演劇的要素、そして音楽的要素のあいだの連結が不足してトーンの一致を感じられなかったが、衝撃と苦痛の美学を伝達する舞台だった」(東亜日報、1981/3/23)と評した。なお、ITI韓国本部の資料ならびに新聞記事ではKSECの上演作品は『新鮮な鮑粥』となっているが、文化芸術振興院の機関紙『文芸振興』1981年4月号では『海峡』と記述されている。KSECの公演は3月18日と19日で、両日とも午後3時と午後7時の一日2回公演と記録されている。
ソウルの大学路に「公演芸術の振興と公演人口の底辺拡大」を目的として「文芸会館(ムネフェグァン/現在はアルコ芸術劇場と改称)」がオープンした。会館には600席(固定)の大劇場と130席(可動)の小劇場とがある。
韓国日報の主催で日本の劇団「ホリホックアカデミー」が国立劇場で『春香伝』を公演。出演はにしきのあきら、吉本真由美、笑福亭仁鶴など。(「文芸振興」1981年12月号と「東亜日報」1981年10月17日付記事から)。劇団ホリホックアカデミーは韓国公演に先立って同年9月26日から3日間、大阪のサンケイホールで開催された「在日本全羅道々民会創立10周年記念大会」でこの『春香伝』を上演し、韓国へ持ってきたもの。関連記事は東亜日報と韓国日報の2つがある。